看板のフォント(書体)は、読ませる距離と店の雰囲気で選びます
店名の看板の文字を決めようとして、フォントの候補が多すぎて迷っていませんか。看板のフォント(書体)は、まず読ませたい距離から見やすさの条件を決め、そのうえで店の雰囲気に合う系統を選ぶと決まります。遠くから読ませる看板は線の太さがそろった角ゴシック体を基本にし、無料のフォントも看板に使えるかを規約で確かめます。書体選びから製作・取り付けまで、グリーンクロスにまとめてご相談いただけます。
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この記事のポイント
- 01遠くから読ませる看板は、線の太さがそろった角ゴシック体が基本です。国土交通省と名古屋市の案内表示の指針も、角ゴシック体が望ましいとしています
- 02細い書体や、横に縮めすぎた文字(長体)は遠くから読みにくくなります。白く光る地の上の黒い文字は、紙で見るより線が細く見えやすくなります
- 03書体で店の雰囲気が伝わります。広島市の飲食店の看板の調査では、カフェは丸ゴシック系、和菓子は楷書系が最も多く使われていました
- 04無料のフォントも、看板に使えるか、ロゴにして商標登録できるかを規約で確かめ、看板の会社には文字をアウトライン化したデータを渡します
- 05グリーンクロスは、書体選びからデザイン・製作・取り付けまで承ります。全国の店舗の書体をそろえるご相談もお受けします
看板のフォント(書体)は、遠くから短い時間で読ませるための文字の形です
看板のフォント(書体)とは、店名や案内を看板に入れるときの文字の形のことです。看板は、歩く人や車から、離れた場所で短い時間に読まれます。そのため名刺やチラシより、線の太さ、線に囲まれた内側の空き、字と字の間が、読みやすさを大きく左右します。
フォントと書体は、ふだんは同じ意味で使われます。書体は「ゴシック体」「明朝体」のような文字の形の系統を、フォントはパソコンで使う文字のデータ(製品)を指すことが多い言葉です。この記事では、文字の形の話を「書体」、使い方の決まり(規約)の話を「フォント」と呼び分けます。
- 線の太さ(ウエイト)同じ書体にも、細いものから太いものまで太さの段階があります。遠くから読ませる看板は、太めを選びます。
- ふところ線に囲まれた内側の空きです。ふところの広い書体は、離れて見ても形がつぶれにくくなります。
- 字間字と字の間です。狭すぎると、離れたときに隣の字とくっついて見えます。
- 文字の高さ読ませたい距離から決めます。目安の表は、和文は「木」、英字は「E」の高さで測ります。
- 長体(横に縮めた文字)看板の幅に収めるために文字を横に縮めると、縦の線が細くなり、ふところも狭くなります。
四角い枠の形で文字を表した模式図です。実際の書体の形は、製品ごとに違います。
書体を選ぶ前に、看板をどこから読ませたいかを決めておくと、候補をしぼれます。通りの向こうから店名を読ませたいなら太い書体、入口の前で読むプレートなら細い書体も使えます。読ませたい距離ごとの文字の高さは、看板の文字の大きさの計算で出せます。
書体の系統ごとに、読みやすさと印象が違います
看板でよく使う書体は、ゴシック体・明朝体・丸ゴシック体・筆の書体(楷書・行書・隷書・勘亭流など)・手書き風と、欧文の書体に分けられます。線の太さがそろう書体ほど遠くから読みやすく、線に強弱や飾りがある書体ほど雰囲気が出ます。
角ゴシック体
縦と横の線の太さがほぼそろい、線の端が四角い書体です。離れても形がつぶれにくく、案内の表示に向いています。
明朝体
横の線が細く、縦の線が太い書体です。横の線の終わりに小さな三角(うろこ)があります。品よく見える一方、細い横の線は遠くから見えにくくなります。
丸ゴシック体
線の端や角が丸い書体です。やわらかく、親しみやすい印象になります。
筆の書体
楷書・行書・隷書・勘亭流など、筆で書いた線の書体です。線の太さが変わり、勢いや伝統を感じさせます。
欧文のサンセリフ体
字の端に飾り(セリフ)のない欧文の書体です。すっきりして、離れても読みやすい形です。
欧文のセリフ体
字の端に小さな飾りがあり、線に強弱のある欧文の書体です。上質で落ち着いた印象ですが、細い線は遠くから見えにくくなります。
線の形だけを抜き出した模式図です。欧文の2つは、左が縦の線、右が丸い線です。
角ゴシック体
- 形の特徴
- 線の太さがそろう。線の端が四角い
- 調査での印象
- にぎやかな・手頃な
- 看板での使いどころ
- 店名・案内・注意の表示。遠くから読ませる看板の基本
明朝体
- 形の特徴
- 横の線が細く、縦の線が太い
- 調査での印象
- 一般的な
- 看板での使いどころ
- 近くで読む看板や、品よく見せたい店名。遠くでは大きく太めに
丸ゴシック体
- 形の特徴
- 線の端と角が丸い
- 調査での印象
- かわいい・親しみやすい
- 看板での使いどころ
- カフェや子ども向けの店、やわらかく見せたい案内
楷書体
- 形の特徴
- 筆で一画ずつ書いた形
- 調査での印象
- 落ち着いた・伝統的な・高級な
- 看板での使いどころ
- 和の店、式典の看板
行書体
- 形の特徴
- 筆の線がつながる、くずした形
- 調査での印象
- 落ち着いた・伝統的な・高級な
- 看板での使いどころ
- 和食の店名。遠くの看板では読めるかを確かめる
勘亭流
- 形の特徴
- 太く丸く、内へ内へ書く筆文字
- 調査での印象
- にぎやかな・個性的な
- 看板での使いどころ
- にぎやかに見せたい店の店名
隷書体
- 形の特徴
- 横に平たく、横の線の終わりを払う形
- 調査での印象
- 最も平均的で、個性が少ない
- 看板での使いどころ
- 中華料理の店などで使われる
手書き風
- 形の特徴
- 手で書いたような線
- 調査での印象
- 温かみのある・親しみやすい
- 看板での使いどころ
- 置き看板やメニュー。店名に使うときは読めるかを確かめる
「調査での印象」は、広島大学の論文(2016年)の評価の結果です。大学生193人が、飲食店の看板の文例を8組の形容詞で評価した結果から、各書体で目立った印象をまとめました。看板での使いどころは、一般的な考え方の例です。

見やすい書体は、角ゴシック体を基本に、太さと字形で選びます
看板で見やすい書体は、線の太さがそろった角ゴシック体です。国土交通省のバリアフリーのガイドラインと名古屋市の指針も、案内の書体は視認性の優れた角ゴシック体が望ましいとしています。遠くから読ませる看板は太めの書体を選び、文字を横に縮めすぎないことが目安です。
書体
- ガイドラインの記述
- 書体は、視認性の優れた角ゴシック体とすることが望ましい(国土交通省 p.80、名古屋市 p.252)
- 看板での使い方
- 店名・案内の基本は角ゴシック体。ロゴの書体は、大きさと太さで補う
太さ
- ガイドラインの記述
- 面積が広いほど色の違いが分かりやすくなるので、文字は極力太い書体を用いると視認しやすくなる(国土交通省 p.104。色の見え方への配慮の説明)。高齢者や弱視者に配慮して、太線の大きな文字を用いる(名古屋市 p.252)
- 看板での使い方
- 遠くから読ませる看板ほど、太めの書体を選ぶ
長体
- ガイドラインの記述
- 過度に長体化した文字は視認性が下がる(国土交通省 p.99)
- 看板での使い方
- 幅に収めるために文字を縮めすぎない。文字の数か看板の幅を見直す
光る看板
- ガイドラインの記述
- 内照式で白い地に黒い文字を載せると、光の影響で、書体の線が印刷物より細く見える傾向がある(国土交通省 p.99)
- 看板での使い方
- 光る地の上の文字は、紙で見るより太めにする
新しい書体
- ガイドラインの記述
- 読みやすさ、見分けやすさを工夫した書体が開発されており、現場の状況に応じて適切なものを選ぶことが望ましい(国土交通省 p.99)
- 看板での使い方
- UDフォントも試す
文字の高さ
- ガイドラインの記述
- 見る距離が10mなら、和文は40mm以上、英文は30mm以上(国土交通省 p.99〜100)
- 看板での使い方
- 読ませたい距離から決める
国土交通省「バリアフリー整備ガイドライン(旅客施設編)」と、名古屋市「福祉都市環境整備指針」です。駅などの旅客施設や公共の建物のための指針で、店や会社の看板の義務ではありませんが、読みやすさの目安になります。
店名のロゴがあるときは、ロゴの形を変えずに使うのが基本です。ロゴの書体が細い、線に強弱があるといった場合は、看板を大きくする、近くで見せる看板に使う、といった方法で読みやすさを補います。ロゴの扱いはロゴを看板にする方法にまとめています。
UDフォントとは
UDフォントとは、ユニバーサルデザインの考え方に基づき、できるだけ多くの人にとってわかりやすく読みやすいことを目指して作られたフォントです(モリサワの説明)。モリサワは、UD書体のコンセプトを「文字のかたちがわかりやすいこと」「文章が読みやすいこと」「読み間違えにくいこと」としています。
読みにくさの例として挙げられているのは、「300円」か「800円」か分からない、濁点と半濁点の見分けがつかない、細い文字がかすれて読めない、といったことです。値段・電話番号・営業時間など、数字を読ませる看板では、こうした読み違いの起きにくい書体を選びます。なお、モリサワは、UD対応の文字に厳密な字形の定義があるわけではない、ともしています。
ポイント:無料で使えるUDフォントもあります
モリサワは、BIZ UDゴシックやBIZ UD明朝などを Google Fonts で提供しています(2022年3月のお知らせで、4月1日からの提供を発表)。ライセンスは SIL Open Font License(OFL)で、OFL のフォントは看板やロゴにも使える、と OFL の公式サイトは説明しています。使う前に、そのフォントのライセンスを確かめます。

店の雰囲気は、書体の系統で伝わります
書体には、店の種類や料理を思い浮かべさせる力があります。広島市の飲食店の看板を調べた研究では、どの業種でも明朝系と角ゴシック系が使われていました。そのうえで、和菓子は楷書系、日本料理は行書系、カフェは丸ゴシック系が最も多く使われていました。
和菓子
- 最も多かった書体(割合)
- 楷書系(63.6%)
日本料理
- 最も多かった書体(割合)
- 行書系(53.8%)
中華料理
- 最も多かった書体(割合)
- 隷書系(50.0%。角ゴシック系と同じ割合)
カフェ
- 最も多かった書体(割合)
- 丸ゴシック系(46.2%)
ラーメン
- 最も多かった書体(割合)
- 勘亭流系(42.1%)
お好み焼き
- 最も多かった書体(割合)
- 明朝系・勘亭流系・隷書系(いずれも37.5%)
今川真治・小土井貴子「広告看板の文字はどのような飲食店をイメージさせるか?」(広島大学大学院教育学研究科紀要、2016年)。2015年6月と8月に、広島市大手町2丁目の近くと本通りの周辺で、店頭の地上約160cmまでの高さの看板(各店の主な看板206枚)を調べた結果です。割合は、その業種の店のうち、その系統の書体を看板に使っていた店の割合です。角ゴシック系は、15の業種のうち10で最も多く使われていました。
論文は、明朝体と角ゴシック体がどの業種でも使われているのは、なじみ深い書体で親しみやすさを出しているためと考えています。角ゴシック体は、縦と横の線が一貫して太く、一文字ずつが大きく見えて目立ちやすい、ともしています。そのうえで、どの店でも使われている書体ばかりでは効果がなく、伝えたい店のイメージやお客さまに合わせて、特徴のある書体を選ぶ必要がある、と結んでいます。店名だけに個性のある書体を使い、営業時間や案内は読みやすい書体にする、という使い分けもできます。
カフェ・喫茶店
- 合う書体
- 丸ゴシック体、細めの欧文、手で書いたような書体
- 気をつけること
- 店名は遠くから読めるかを確かめる。メニューは置き看板へ
和食・和菓子・旅館
- 合う書体
- 楷書・行書などの筆の書体、明朝体
- 気をつけること
- くずした書体は、遠くの看板では読めるかを確かめる
ラーメン・居酒屋
- 合う書体
- 勘亭流などの太い筆文字、太い角ゴシック体
- 気をつけること
- 個性の強い書体は店名に使い、ほかは読みやすい書体に
美容室・サロン
- 合う書体
- 細めの欧文、明朝体
- 気をつけること
- 細い線は近くで見せる看板に。遠くの看板は太さを足す
クリニック・薬局
- 合う書体
- 角ゴシック体、丸ゴシック体、UDフォント
- 気をつけること
- 診療の時間などの数字は、読み違いの起きにくい書体で
会社・事務所・工場
- 合う書体
- ロゴに合わせた角ゴシック体や欧文のサンセリフ体
- 気をつけること
- 全国の拠点で、書体と太さをそろえる
懐かしい雰囲気(昭和レトロ)
- 合う書体
- 手書き風、筆の書体、太い角ゴシック体
- 気をつけること
- 雰囲気を出す書体は店名に。ほかは読みやすさを優先
式典・行事の看板
- 合う書体
- 楷書などの筆の書体
- 気をつけること
- 会場の入口から読める大きさにする
注意・案内の表示
- 合う書体
- 太い角ゴシック体
- 気をつけること
- 読み間違えない形を優先する
業種ごとに決まった正解はありません。上の調査の結果と、見やすさの目安をもとにした考え方の例です。
和風の看板の書体
和風の看板には、楷書・行書・隷書などの筆の書体がよく合います。歌舞伎の看板などに使われる太い筆文字は「勘亭流」と呼ばれ、寄席文字や相撲文字と同じ江戸文字の仲間です。松竹の歌舞伎の公式サイトによると、安永8年(1779年)に中村座の看板のために考えられたのが始まりです。字は太く丸く、すき間なく内へ内へと書かれ、客を呼び込む意味が込められています。

英語の看板は、欧文の書体と大文字・小文字で読みやすさが変わります
英語の店名や案内は、字の端に飾りのないサンセリフ体が遠くから読みやすく、飾りのあるセリフ体は上質な印象になります。筆記体(スクリプト体)は華やかですが、読める距離が短くなります。大文字と小文字の使い分けも、読みやすさに関わります。
- サンセリフ体:字の端に飾りがなく、線の太さがそろった書体です。離れても形が崩れにくく、店名や案内に向いています
- セリフ体:字の端に小さな飾りがあり、線に強弱のある書体です。上質で落ち着いた印象ですが、細い線は遠くから見えにくくなります
- 筆記体(スクリプト体):手で続けて書いたような書体です。華やかに見えますが、字がつながるぶん読める距離が短くなります。店名の一部や、近くで見る看板に使います

観光庁の多言語対応のガイドラインは、英語の書き方を3つに分けています。各単語の頭文字だけを大文字にする書き方は、主に標識やサインに使われる書き方です。全部を大文字にする書き方(例:NO EXIT)は、重要な禁止や注意を促す標識などに使われます。最初の単語の頭文字だけを大文字にする書き方は、文章の基本の形で、標識やサインにも使われます。強調するときは、“ ”ではなく太い文字で表す、としています。店名はロゴの書き方に合わせ、案内の表示はこの使い分けを目安にします。
文字の高さの目安は、英字では「E」の高さで測ります。国土交通省のガイドラインの表では、見る距離10mで和文40mm以上、英文30mm以上です。和文と英文を並べる看板では、それぞれの目安を満たすように大きさを決めます。
光る看板・立体の文字・ネオンは、細い書体に気をつけます
看板のつくりによって、同じ書体でも見え方が変わります。光る地に暗い文字を載せると線が細く見えやすく、文字そのものを光らせると光が線のまわりに広がって見えます。立体の文字やネオンは、線の一本一本を部材や光の線で作るため、細い線や画数の多い字は、大きさと書体で調整します。
光る地に、暗い色の文字
表示面を中から光らせ、白い地に黒い文字を載せると、光の影響で線が印刷物より細く見える傾向があります(国土交通省のガイドライン)。点線は紙で見たときの線の太さです。紙で見るより太めの書体にします。
文字そのものが光る
光る文字は、暗い中で光が線のまわりに広がって見えることがあります。ふところの狭い字や、線と線の間が狭い字は、つぶれて見えないかを確かめます。
立体の文字(箱文字・切り文字)
線の一本一本を部材で作ります。光らせる文字は、線の中に照明を入れるため、細すぎる線では収まらないことがあります。文字を大きくするか、線を少し太らせて調整します。
ネオン・LEDネオン
光の線で文字をなぞります。線と線が近すぎると、光が重なって形がつぶれます。線のあいだを空けられる書体を選び、原寸の図で確かめます。
模式図です。光の広がり方は、明るさや周りの暗さで変わります。

看板のつくりが先に決まっているときは、書体を決める前に、看板の会社に「この書体で作れるか」を聞いておくと、作る段階での直しが減ります。立体の文字のつくりは箱文字・切り文字・カルプ文字、光らせ方の違いは光る看板の種類と選び方にまとめています。
無料・有料のフォントは、看板に使えるかを規約で確かめます
看板に使うフォントは、無料でも有料でも、作った会社や配る人の規約(使用許諾)で使い方が決まっています。看板に使えるか、ロゴにして商標登録できるか、フォントのファイルを渡してよいかを確かめます。看板の会社には、文字をアウトライン化したデータと、使ったフォントの名前を渡します。
商用で使えるか
- なぜ確かめるか
- 店や会社の看板は、商用の使い方にあたる
- 規約の例
- OFL の公式サイトは、使い道は自由で、制限はフォントだけを売ることなどに限られると説明している。MORISAWA PASSPORT の契約書は、フォントで作った文書や出力物を、有償・無償を問わず使えるとしている(アカデミック版は、営利・商業の目的では使えない)
看板に使えるか
- なぜ確かめるか
- 規約に「看板」という言葉がないこともある
- 規約の例
- OFL の公式サイトは、看板(signage)・ロゴ・ポスターなどに使えると説明している。MORISAWA PASSPORT の契約書は、印刷物や、印鑑・スタンプなどの有体物として使う例を挙げている
ロゴにして商標登録できるか
- なぜ確かめるか
- 店名のロゴを作り、商標として登録したいときに関わる
- 規約の例
- モリサワは、タイプバンクのフォントはロゴデザインに使えるが、作ったロゴマークの商標登録・意匠登録はできないとしている。MORISAWA PASSPORT の契約書も、ロゴの商標登録・意匠登録を禁じている
ファイルを渡してよいか
- なぜ確かめるか
- 看板の会社やデザイナーにデータを渡す場面がある
- 規約の例
- MORISAWA PASSPORT の契約書は、書面の許諾なく再配布・貸与することなどを禁じている
作者の表示が要るか
- なぜ確かめるか
- 看板に作者の名前を入れる必要があるか
- 規約の例
- OFL のフォントは、使うだけなら何もしなくてよい、と OFL の公式サイトは説明している
規約の例は、2026年11月に各社の公式のページで確かめた範囲です。規約は、フォントごと・製品ごと・版ごとに違い、変わることがあります。使うときに、その時点の規約を確かめます。MORISAWA PASSPORT の契約書は、2023年6月1日に改められた版(20230601)を見ました。
同じ「無料」でも、配る人ごとに規約は違います。フリーフォントを看板に使うときは、配っているページの規約で、商用の使い方と、看板やロゴへの使い方を確かめてから決めます。迷うときは、フォントを作った会社や配る人に問い合わせます。素材の規約の確かめ方は、看板のデザインの頼み方でも紹介しています。
法令・ルール:フォントで組んだ店名と、ロゴは分けて考えます
店名をフォントで並べただけの文字と、マークや文字の形をデザインしたロゴは、別のものとして考えます。ロゴを商標として登録したいときは、使ったフォントの規約で、ロゴの商標登録が認められているかを先に確かめます。個別の判断に迷うときは、フォントのメーカーや、弁理士・弁護士などの専門家に相談します。
看板の会社にデータを渡すときにそろえるもの
- 文字をアウトライン化(図形にする処理)したデータ(ai・PDF など)
- 文字を打ち直せる、元のデータ
- 使ったフォントの名前と太さ
- 入手先と、規約を確かめた日
- 看板の寸法と、文字の高さが分かる図
フォントのファイルそのものは、規約で渡すことを認めていない場合があります。文字はアウトライン化して渡し、あとで直すときのために、フォントの名前を残しておきます。
このサイトの看板製作のページでも、入稿データの文字はアウトライン化された状態が望ましいとしています。パソコンが違うとフォントが置き換わることがあるためで、アウトライン化する前のデータもあわせて預かれると安全です。くわしくは入稿データの確認項目をご覧ください。
看板のフォントは、6つの手順で選ぶと迷いません
看板のフォントは、読ませる距離を決め、店の雰囲気から系統をしぼり、太さを決め、原寸で見え方を確かめ、規約を確かめてから、データにして渡します。「おすすめのフォント」を探し回るより、この順に決めるほうが、店に合う書体に早くたどり着けます。
- 1
読ませる距離を決める
通りの向かい、車の中、入口の前など、どこから読ませるかを決めます。距離から文字の高さの目安が決まり、使える書体の細さの幅も決まります。
- 2
店の雰囲気から系統をしぼる
ゴシック体・明朝体・丸ゴシック体・筆の書体・欧文のうち、店に合う系統を選び、候補を3つほどにしぼります。
- 3
太さを決める
遠くから読ませる看板ほど、太めを選びます。光る地の上に文字を載せる看板は、紙で見るより太めにします。
- 4
原寸で見え方を確かめる
候補の書体で店名を原寸か、それに近い大きさで印刷し、取り付ける場所に当てて、読ませたい距離から見ます。建物の写真に重ねて、全体の釣り合いも見ます。
- 5
規約を確かめる
看板に使えるか、ロゴにするなら商標登録できるかを、フォントの規約で確かめます。
- 6
データにして渡す
文字をアウトライン化したデータと、フォントの名前・太さを、看板の会社に渡します。
迷いやすいところ
- 画面の大きさで選ぶ:パソコンの画面の文字は、目の近くで見ています。画面で読みやすい細い書体が、離れて見る看板では読みにくくなります
- 文字を横に縮めて、幅に収める:店名が長いからと文字を横に縮めると、遠くから読みにくくなります。文字の数か看板の幅を見直します
- 1枚に書体をいくつも使う:書体の種類が多いと、まとまりがなくなります。店名の書体と、案内の書体に分けるくらいにしぼります
- 無料のフォントを、規約を読まずに使う:無料でも、商用やロゴへの使い方に条件があることがあります
- 店ごとに書体が変わる:全国の店舗や拠点で書体がそろわないと、同じ会社の看板に見えにくくなります。書体の名前と太さを、仕様として残します
書体選びから製作・取り付けまで、グリーンクロスにご相談ください
グリーンクロスは、看板の書体選びとデザインから、製作・取り付け・点検まで、ひとつの窓口で承ります。お手持ちのロゴや文字のデータからの製作も、全国の店舗や拠点の書体をそろえるご相談もお受けします。
書体選びとデザインから設置場所の写真や手書きのメモ、ロゴから、看板として成り立つデザインの案を作ります。読ませる距離と店の雰囲気から、書体と文字の大きさをご提案します。看板製作を見る
手持ちのロゴや文字のデータからお持ちのデータや原稿を確かめ、寸法・割付・文字の見え方を、看板の大きさに合わせて整えます。画像だけのデータも、まずはそのままお送りください。入稿データの確認項目を見る
全国の店舗の書体をそろえる書体・色・寸法・取付方法の基準を全国の拠点で共有し、店舗による見え方の差を抑えます。初めに決めた仕様を全国で共有し、2店舗目からは違うところだけを確かめます。全国・多店舗の一括対応を見る
写真は、グリーンクロスのスタッフと、グループの作業場です。
グリーンクロスは、全国61拠点のネットワークと、全国47都道府県での屋外広告業の登録で、全国の看板に対応しています。窓口はひとつで、全国に店舗を展開する企業にも、この規模から選んでいただいています。看板に関することは基本的にすべてお受けしていて、内容に応じてグループの工場か協力会社で製作し、取り付けまで承ります。夜間や土日祝の工事にも対応し、取り付けたあとの点検は屋外広告士が行い、自治体の様式に沿って報告書を作ります。
ご相談から取り付けまでの流れ
- 1
写真と内容をお送りいただく
設置場所の写真と、店名やロゴ、使いたい書体があればその名前をお知らせください。書体が決まっていなくても構いません。
- 2
写真から概算をお伝えする
看板の種類と大きさ、書体と文字の大きさの考え方と、写真から出した概算をお伝えします。
- 3
現地を確かめて、正式なお見積り
仕様が決まり、現地を確かめてから、正式なお見積りをお出しします。
- 4
デザインの確認と、製作・取り付け
書体・文字の大きさ・色の確認のあとで、製作して取り付けます。決めた書体と仕様は記録に残し、あとの増設や改装に生かします。
ステンレスやアクリルの切り文字、プレート看板は、グループの通販サイト「看板通販サインシティ(別のタブで開きます)」でも注文でき、看板のデザインも頼めます。決まった形の看板や切り文字で足りるときは、こちらも使えます。
よくあるご質問
看板に見やすいフォントは何ですか?
遠くから読ませる看板は、線の太さがそろった角ゴシック体が基本です。国土交通省のバリアフリーのガイドラインと名古屋市の指針も、案内の書体は視認性の優れた角ゴシック体が望ましいとしています。太めの太さを選び、文字を横に縮めすぎないことも、読みやすさの目安です。
無料のフォントを看板に使ってもいいですか?
規約で、看板への使い方が認められていれば使えます。たとえば SIL Open Font License(OFL)のフォントは、看板やロゴにも使えると OFL の公式サイトが説明しています。無料でも配る人ごとに規約は違うため、商用で使えるか、ロゴにして商標登録できるか、ファイルを渡してよいかを確かめます。
看板の文字は、ゴシック体と明朝体のどちらがいいですか?
遠くから読ませる看板や光る看板はゴシック体、近くで読む看板や品よく見せたい店名は明朝体、と考えると選びやすくなります。明朝体は横の線が細いため、遠くの看板に使うときは、大きく太めの書体にします。
おしゃれな看板にするには、どんなフォントを選べばいいですか?
店の雰囲気に合う系統から選びます。やわらかく見せたいなら丸ゴシック体や手書き風、上質に見せたいなら明朝体やセリフ体、和の雰囲気なら筆の書体です。雰囲気のある書体は店名に使い、営業時間や案内は読みやすい書体にすると、おしゃれさと読みやすさを両立できます。
和風の看板には、どんな書体が合いますか?
楷書・行書・隷書・勘亭流などの筆の書体がよく合います。広島市の飲食店の看板を調べた研究では、和菓子の店は楷書系、日本料理の店は行書系が最も多く使われていました。くずした筆の書体は、遠くから読めるかを原寸で確かめます。
英語の看板には、どんなフォントが向いていますか?
遠くから読ませる看板は、字の端に飾りのないサンセリフ体が向いています。セリフ体は上質な印象、筆記体(スクリプト体)は華やかですが、読める距離が短くなります。観光庁のガイドラインは、各単語の頭文字だけを大文字にする書き方を、主に標識やサインに使われる書き方としています。
UDフォントとは何ですか?看板にも使えますか?
UDフォントは、できるだけ多くの人にとってわかりやすく読みやすいことを目指して作られたフォントです(モリサワの説明)。モリサワの UD書体は、数字の読み違いや、濁点と半濁点の見分けにくさを減らすことをめざして作られていて、値段や電話番号を入れる看板にも向いています。看板に使うときは、ほかのフォントと同じく規約を確かめます。
看板の会社にデータを渡すとき、フォントはどうしますか?
文字をアウトライン化(図形にする処理)したデータを渡し、使ったフォントの名前と太さを書き添えます。フォントのファイルそのものは、規約で渡すことを認めていない場合があります。アウトライン化する前のデータもあると、あとで文字を直すときに助かります。
参考にした資料
- 国土交通省「バリアフリー整備ガイドライン(旅客施設編)」第2部 2.誘導案内設備に関するガイドライン(令和7年9月版)(別のタブで開きます)書体は角ゴシック体が望ましい(p.80)、読みやすさを工夫した書体・内照式の白い地の黒い文字の見え方・過度な長体化(p.99)、文字の大きさの目安(p.99〜100)、色の違いを見分けやすくする太い線と太い書体(p.104)
- 名古屋市「福祉都市環境整備指針」第2編 Ⅴ 情報・案内(令和4年3月更新)(別のタブで開きます)書体は角ゴシック体が望ましい、太線の大きな文字(p.252)
- 今川真治・小土井貴子「広告看板の文字はどのような飲食店をイメージさせるか?」広島大学大学院教育学研究科紀要 第二部 第65号 pp.249–256(2016年12月)(別のタブで開きます)広島市の飲食店の看板の書体の分類と、業種ごとに最も多く使われていた書体、書体の印象の評価
- 松竹「歌舞伎美人」今日のことば「勘亭流」(2008年5月12日)(別のタブで開きます)勘亭流の始まりと、字の形
- 観光庁「観光立国実現に向けた多言語対応の改善・強化のためのガイドライン」(平成26年3月)(別のタブで開きます)標識・サインの英語の大文字と小文字の使い分け、強調の表し方(p.28)
- モリサワ「ユニバーサルデザインフォントとは?」(別のタブで開きます)UDフォントの説明
- モリサワ「UD書体」(別のタブで開きます)UD書体のコンセプト、読みにくさの例、字形の定義
- モリサワ「「Google Fonts」へユニバーサルデザインに配慮した「BIZ UDフォント」を提供」(2022年3月30日)(別のタブで開きます)提供する書体と、SIL Open Font License
- SIL「Using OFL fonts」(2026年1月12日更新)(別のタブで開きます)OFL のフォントを看板(signage)・ロゴに使えること、制限と表示
- モリサワ「フォントをロゴに使うことはできますか」(別のタブで開きます)ロゴデザインへの使用と、ロゴマークの商標登録・意匠登録
- モリサワ「MORISAWA PASSPORT エンドユーザライセンス契約書」(20230601)(別のタブで開きます)電子文書・出力物の利用(第1条 3)電子文書の頒布等)、ロゴの商標登録・意匠登録の禁止(第4条第10号)、再配布・貸与などの禁止(第6条)
- モリサワ「モリサワフォント製品の各種エンドユーザライセンス契約書およびWebサイト利用規約等の更新について」(2023年4月28日)(別のタブで開きます)MORISAWA PASSPORT の契約書などを、2023年6月1日に更新
- 看板通販サインシティ(トップページ)(別のタブで開きます)グループの通販サイト。ステンレス・アクリルの切り文字、プレート看板の商品と、看板のデザインの案内
この記事について
全国看板施工・点検ナビ
運営:GREEN MEDIA(株式会社グリーンクロス グリーンメディア事業部)
監修:横田悠介(屋外広告士)
看板の製作・施工・点検・修理・撤去を、全国61拠点のネットワークで行っています。記事は、屋外広告士の監修のもとで作っています。記事の中の法令や自治体のルールは、国や自治体が公表している資料で確かめた内容で、使った資料は記事の最後に載せています。公開する前と、内容を直すときには、資料と照らし合わせて確かめています。写真は、グリーンクロスグループが手がけた看板と、グループの工場・施工の現場で撮影したものです。




