看板の撤去。閉店・退去のときの届出と原状回復、費用の決まり方
閉店や退去の日が決まって、看板をどうするか考え始めたら、外す工事の前に確かめることがあります。許可を受けて出していた看板は除却の届出、道路の上に出ている看板は道路の占用の手続き、借りている建物なら原状回復の範囲です。まずは退去の日から逆算して、いまの看板の写真を撮るところから始めてみてください。
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この記事のポイント
- 01撤去は、退去の日から逆算して、写真・契約の確認・見積り・手続き・工事・届出の順に進めます
- 02許可を受けていた看板は、外したら除却の届出をするのが原則です。期限と写真の付け方は地域で違います
- 03道路の上に出ている看板は、道路の占用の手続きも要ります。表示を消すだけでは撤去と扱われない地域もあります
- 04テナントの看板は、賃貸借の契約と民法の原状回復の考え方で、外す範囲と壁の補修の範囲を決めます
- 05照明の配線と高い所の作業があるため、自分で外さず、撤去・処分・補修の範囲を見積書で確かめます
撤去は、退去の日から逆算して始めます
看板の撤去には、外す工事のほかに、建物の管理会社の承認、自治体や道路の手続き、作業車の手配、外したあとの補修があります。退去や解体の日が決まったら、その日から逆算して段取りを組みます。
閉店や移転が決まると、看板のことはつい後回しになりがちです。けれど看板は建物の外に付いていて、自治体の許可や道路の手続きとつながっていることがあります。外す日だけを決めて動き出すと、手続きが工事の日に間に合わないこともあります。
- 写真を撮る看板の正面と横、取り付けているところ、建物全体を撮ります。照明がある看板は、夜に点いている様子も撮っておくと伝わりやすくなります。
- 契約と許可を確かめる賃貸借の契約書の原状回復の項目と、屋外広告物や道路の占用の許可の書類が手元にあるかを確かめます。
- 見積りと外す範囲看板だけか、取付金具や基礎までか。処分と壁の補修、届出のご案内のどこまでを含むかも、見積書で確かめます。
- 工事の前の手続き道路に作業車を止めて作業するときは、警察署の道路使用の許可が要ります。道路の上に出ている看板は、大阪市のように、外す前に占用の手続きが要る地域があります。
- 撤去の工事電気を切り離してから、看板と取付金具、配線を外します。高い所は高所作業車やクレーンを使います。
- 届出と引き渡し許可を受けていた看板は除却の届出をし、建物の持ち主や管理会社の確認を受けて引き渡します。
右端の旗が退去の日です。そこから左へさかのぼって段取りを並べた模式図で、必要な日数は看板の大きさと地域の手続きで変わります。
閉店・テナントの退去
- 外す範囲の考え方
- 看板と取付金具、配線を外し、壁の補修の範囲を契約で決める
- 先に確かめること
- 契約の原状回復の項目、管理会社の承認、退去の日
移転
- 外す範囲の考え方
- 外した看板を新しい店で使うか、作り直すかを決める
- 先に確かめること
- 新しい店の壁と地域の決まり、看板の傷み
建て替え・解体
- 外す範囲の考え方
- 建物の工事の前に外す。自立看板は基礎まで外すかを決める
- 先に確かめること
- 解体の工程との順番、基礎の扱い
社名・ブランドの変更
- 外す範囲の考え方
- 表示面だけ替えるか、看板ごと替えるか
- 先に確かめること
- 新しい表示の大きさ、変更の許可の要否
使わずに残った看板
- 外す範囲の考え方
- 空き店舗や屋上に残った看板は、骨組みまで外すかを決める
- 先に確かめること
- 看板の持ち主、管理している人、傷みの程度
全国の店舗の閉店や、社名の変更にあわせた看板の撤去は、ひとつの窓口でご相談いただけます。店舗ごとに、外す範囲と地域の手続きを確かめてご案内します。
外す範囲は、表示面だけ・看板ごと・基礎までの3つ
撤去は、どこまで外すかで工事も費用も変わります。次に入る人が骨組みを使うのか、壁や地面を元に戻すのかを、建物や土地の持ち主と決めてから見積りを取ります。
表示面だけ外す
看板の枠や骨組みは残し、店名の入った表示面だけを外します。次に入る店が骨組みを使う場合などの方法です。
看板ごと外す
看板の本体と取付金具、配線を外します。壁にはアンカー(壁に埋めて金具を留める部品)の穴や、配線を通した穴が残ります。
基礎まで外す
地面に建てた自立看板では、地中のコンクリートの基礎まで外すかを決めます。基礎を残すか、地面を元に戻すかで工事が変わります。
看板を横から見た模式図です。緑色で描いたものが外す部分、灰色で描いたものが残る部分です。灰色の矢印は外す向きです。
どこまで外すかは、看板の持ち主だけでは決められないことがあります。テナントの看板なら建物の持ち主や管理会社と、敷地に建てた看板なら土地の持ち主と、外す範囲を先にそろえておきます。範囲が決まると、見積りの中身もはっきりします。

駐車場に立つポールサインのような自立看板は、地中に基礎があります。基礎を残すと地面の上は片づきますが、次にその場所を使う人の工事に関わることもあります。土地を返す条件や、次の使い方とあわせて決めます。
移転のときは、外した看板を新しい店で使えるかも確かめます。新しい店の壁に合う大きさか、その地域の許可の基準に合うか、傷みや照明の状態はどうかで決まります。使うなら、外すときに傷めないよう、取り外し方と運び方も一緒に決めます。
ポイント:骨組みを残すときも、管理する人を決めておきます
表示面だけを外して骨組みを残す場合も、骨組みの持ち主と、さびや傷みを見ていく人を決めておきます。看板の安全管理ガイドブックは、長く放置された屋上の看板は、さびで腐食して撤去の工事に危険が伴い、多額の費用がかかる場合があるとしています。
許可を受けた看板は、外したら除却の届出をします
屋外広告物の許可を受けて出していた看板は、外したあとに自治体へ除却(取り除くこと)の届出をするのが原則です。届出の名前、出す時期、写真の付け方は、地域ごとに違います。
屋外広告物とは、建物の外や敷地で人に見せる看板などのことで、地域ごとの条例で、大きさや場所によって許可が要ります。許可を受けて出していた看板を外したら、許可の窓口に知らせるのが除却の届出です。
東京都
- 外したときの届出
- 期間の途中で外したら、直ちに屋外広告物除却届
- 期間が終わったら
- 許可の期間が満了したら、直ちに除却
大阪市
- 外したときの届出
- 屋外広告物撤去届
- 期間が終わったら
- 満了から5日以内に撤去
名古屋市
- 外したときの届出
- 撤去したり表示をやめたりしたら、10日以内に届け出る
- 期間が終わったら
- —
福岡市
- 外したときの届出
- 屋外広告物除却届を直ちに
- 期間が終わったら
- 満了などの翌日から10日以内に除却
横浜市
- 外したときの届出
- 除却した日から7日以内に届け出る
- 期間が終わったら
- 満了の日から10日以内に除却
札幌市
- 外したときの届出
- 区の土木部維持管理課に除却届
- 期間が終わったら
- 満了から5日以内に除却
神戸市
- 外したときの届出
- 除去後の現況写真を付けて広告物等除却等届
- 期間が終わったら
- —
京都市
- 外したときの届出
- 除却が分かるカラー写真を付けて屋外広告物等除却届
- 期間が終わったら
- —
仙台市
- 外したときの届出
- 壁面などの看板は、除却したことを届け出る
- 期間が終わったら
- 満了から5日以内に除却。表示を消して板面を残すなら継続の申請
さいたま市
- 外したときの届出
- 除却したことを届け出る
- 期間が終わったら
- 満了から5日以内に除却
川崎市
- 外したときの届出
- 除却後のカラー写真を付けて屋外広告物除却届(電子申請も可)
- 期間が終わったら
- —
広島市
- 外したときの届出
- 区役所の維持管理課に除却の届出
- 期間が終わったら
- 満了したら遅滞なく除却
千葉市
- 外したときの届出
- 除却したことを届け出る
- 期間が終わったら
- 遅滞なく除却
相模原市
- 外したときの届出
- 除却の届出
- 期間が終わったら
- —
堺市
- 外したときの届出
- 除却が分かる写真を付けて除却届
- 期間が終わったら
- —
北九州市
- 外したときの届出
- 屋外広告物除却届を直ちに
- 期間が終わったら
- 満了から10日以内に除却
新潟市
- 外したときの届出
- 区役所建設課に除却・滅失届
- 期間が終わったら
- —
静岡市
- 外したときの届出
- 除却後のカラー写真を付けて、直ちに届け出る
- 期間が終わったら
- 遅滞なく除却。白い板にしただけでは除却にならない
浜松市
- 外したときの届出
- 除却したことを届け出る
- 期間が終わったら
- 遅滞なく除却
岡山市
- 外したときの届出
- 除却完了届
- 期間が終わったら
- 遅滞なく除却
熊本市
- 外したときの届出
- 除却したことを届け出る
- 期間が終わったら
- 遅滞なく除却
船橋市
- 外したときの届出
- 除却の前後のカラー写真を付けて屋外広告物等除却届(第14号様式)
- 期間が終わったら
- 遅滞なく除却
八王子市
- 外したときの届出
- 除却の前後のカラー写真を付けて屋外広告物除却届(第12号様式)を速やかに
- 期間が終わったら
- —
姫路市
- 外したときの届出
- 屋外広告物除却(滅失)届
- 期間が終わったら
- すみやかに除却
尼崎市
- 外したときの届出
- 広告物等滅失・除却届(様式第10号)を速やかに
- 期間が終わったら
- 直ちに除却
川口市
- 外したときの届出
- 除却前後の写真を添えて除却届(様式第9号)
- 期間が終わったら
- 満了などから5日以内に除却
柏市
- 外したときの届出
- 屋外広告物等除却(滅失)届
- 期間が終わったら
- —
宇都宮市
- 外したときの届出
- 継続して出さないときは除却の届出
- 期間が終わったら
- —
岐阜市
- 外したときの届出
- 屋外広告物除却届出書(様式第11号)を速やかに(オンラインも可)
- 期間が終わったら
- —
豊田市
- 外したときの届出
- 屋外広告物除却届(様式第11号)を遅滞なく(オンラインも可)
- 期間が終わったら
- 遅滞なく除却
東大阪市
- 外したときの届出
- 撤去後の写真を付けて屋外広告物滅失等届出書を遅滞なく
- 期間が終わったら
- 遅滞なく除却。白く塗っただけで骨組みが残るなら管理を続ける
福山市
- 外したときの届出
- 屋外広告物除却(滅失)届
- 期間が終わったら
- —
松山市
- 外したときの届出
- 屋外広告物除却届出書(様式第12号)
- 期間が終わったら
- 速やかに除却
鹿児島市
- 外したときの届出
- 屋外広告物除却(滅失)届(様式第11)の様式あり
- 期間が終わったら
- 表示の必要がなくなったら遅滞なく除却。板面を白くしただけでは除却にならない
このサイトの地域のページ(2026年10月に各自治体の資料で確認)と、各自治体の条例の施行規則・手引き・案内のページをもとにまとめました。東京都は八王子市と町田市を除く区市町村です。「—」は、確かめた資料に日数などの定めが見当たらなかったものです。様式は変わることがあるため、出す前に窓口の案内で確かめます。
除却の届出を出すまでの流れ
- 1
許可の書類を探す
許可を受けたときの書類(許可書など)を探し、許可の番号と窓口を確かめます。見つからないときは、設置場所の住所で窓口に問い合わせます。
- 2
外す前の写真を撮る
船橋市や八王子市のように、外す前と外したあとのカラー写真を付ける地域があります。外す前の様子も撮っておきます。
- 3
外したあとの写真を撮る
看板があった場所が分かるように、建物の外観と一緒に撮ります。静岡市は、除却後の現場の状況が分かるカラー写真を求めています。
- 4
地域の様式で届け出る
地域の様式に書き込み、窓口に出します。川崎市のように、電子申請で出せる地域もあります。
- 5
控えを残す
出した日と控えを、退去の書類と一緒に保管します。あとで許可の状況を聞かれたときに役立ちます。
法令・ルール:静岡市の例:白い板にしただけでは、除却になりません
静岡市は、表示の内容を消しただけ(白い板にする)では除却の扱いにならないとして、除却するときは板面と躯体(骨組み)を撤去するよう案内しています。届出は除却したら直ちに出し、除却後の現場の状況が分かるカラー写真を付けます。
道路の上に出た看板は、道路の手続きも忘れずに
歩道の上に突き出した看板などは、道路法の占用の許可を受けて出しているものがあります。外すときは占用をやめる届出が要り、地域によっては外す前に手続きが要ります。作業車を道路に止めるときは、警察署の道路使用の許可も受けます。
- 歩道の上に突き出した看板許可を受けていた看板の除却の届出に加えて、道路管理者に占用をやめる届出(廃止届・返還届など)を出します。
- 建物の壁に付けた看板道路の境界より敷地側に収まる、壁に付けた看板です。許可を受けていた看板は、外したら除却の届出をします。壁に付けた看板でも、道路の上に出ている部分があれば、占用の手続きが要ることがあります。
- 道路に止める作業車高所作業車やクレーン車を道路に止めて作業するときは、警察署長の道路使用の許可を受けます(道路交通法 第77条)。
- 道路の上の空間道路の境界より道路側の空間です。ここに張り出す看板は、道路法の占用の許可を受けて出します。
店の前を横から見た模式図です。どの手続きが要るかは、看板の位置と作業のしかたで決まります。
道路法は、道路の占用をやめたときは、占用していた物を取り除き、道路を元に戻すことを原則としています(第40条)。看板の場合は、道路の上に張り出した部分を外し、占用をやめる届出を出します。届出の名前や添える写真は、道路管理者ごとに違います。
法令・ルール:大阪市・新宿区の例:外す前と外したあとに手続きがあります
大阪市の突出看板の案内では、看板を撤去する前に変更の申請をして許可を受けてから、撤去の工事をします。撤去したら、撤去が分かる写真を付けて道路占用返還届を出し、屋外広告物の許可も受けていれば屋外広告物撤去届も出します。新宿区では、撤去後のカラー写真を付けて廃止届を出し、看板の意匠(表示)だけを外しても占用の廃止にはならないとしています。
大阪市の案内には、許可の期間が切れている場合は、更新と変更の手続きをしたうえで返還届を出すことも書かれています。占用の許可の期限も、撤去を考え始めたときに確かめておきます。

看板は自分で外していい?電気の配線と高い所の作業
手の届く高さの置き看板などを除き、自分で外すのは避けてください。照明の配線を外す作業は電気工事士の資格が要り、高い所の作業には、人が落ちる危険と看板が落ちる危険があります。
光る看板の中には、蛍光灯と安定器(蛍光灯を点けるための装置)や、LEDと電源の装置が入っていて、建物の配線につながっています。看板を外すときは、電気を止めて看板への配線を外し、壁に残る線の端を安全に処理します。
看板の配線を外したりつないだりする作業は、電気工事士法で資格をもつ人が行う作業です(第3条)。照明の電気の通り道は看板の修理で説明しています。
自分で外す前に、立ち止まりたいとき
- 看板の下の端が、手の届かない高さにある
- 看板の中に照明がある、または看板に電気の線がつながっている
- 看板が重く、一人では支えられない
- 看板が道路や通路の上に張り出している
- 取付金具やボルトにさびがあり、外す途中で動きそう
- 屋上や壁の高い位置に、骨組みごと付いている
一つでも当てはまるときは、自分で外さず、看板の写真を撮って相談してください。
高い所の作業について、労働安全衛生規則は、仕事で高さ2m以上の所で作業をするとき、落ちる危険があれば、足場などで作業床を設けることを事業者に求めています(第518条)。看板の撤去では、高さに合わせて高所作業車や足場を使い分け、外した看板を地上へ下ろす段取りまで決めてから作業します。

高所作業車のバケットで、ビルの壁面の看板を取り付ける2名の作業員 
脚立に上り、飲食店の店頭の看板を取り付ける作業員
いずれもグリーンクロスグループの施工の現場です。高さと看板の大きさで、作業の方法を選びます。
看板の設置や保存に欠陥があって人にけがをさせたときは、まず看板の占有者が賠償の責任を負い、占有者が損害を防ぐのに必要な注意をしていたときは、所有者が責任を負います(民法第717条)。外す作業の途中も、看板の下に人が入らないよう、作業の場所を区切ります。
テナントの看板は、契約と民法で元に戻す範囲を決めます
借りている建物に付けた看板は、退去のときに外し、取り付けでできた傷みを元に戻すのが民法の原則です。どこまで戻すかは、賃貸借の契約で決めていることがあるため、契約書と管理会社の決まりを先に確かめます。
民法は、借りた人は、借りたあとに生じた損傷を、契約が終わるときに元に戻す義務を負うとしています(第621条)。ただし、ふつうに使っていて生じた損耗と年月による変化、借りた人の責任ではない理由による損傷は除かれます。看板のために壁に開けた穴やアンカーの跡が元に戻す範囲に入るかは、契約と照らして確かめます。
借りた人が取り付けた物は、契約が終わるときに取り外す義務がある、とも民法は決めています(第622条で準用する第599条第1項)。ただし、建物から分けられない物や、分けるのに過分の費用がかかる物は除かれます。看板と取付金具を外すか残すかも、この考え方をもとに、建物の持ち主と決めます。
- アンカーの穴看板や金具を壁に留めていた部品の穴です。ふさぎ方と、仕上げ(塗装など)をどこまでするかを決めます。
- 配線を通した穴建物の中から看板へ電気を通していた穴です。雨水が入らないように、線の端を処理してふさぎます。
- 看板の跡(色の差)看板の裏だった部分は、周りと色や汚れの具合が違って見えることがあります。
- 取付金具・下地看板を受けていた金具や、壁に付けた下地の材です。外すか残すかを決めます。
壁に付けた看板を外したあとを、正面(左)と横(右)から見た模式図です。
賃貸借の契約書
- 確かめること
- 原状回復の項目と特約。看板・取付金具・外壁の補修の扱い
管理会社・建物の決まり
- 確かめること
- 工事の申請、作業できる時間帯、外壁の仕上げの指定(色や材料)
入居のときの記録
- 確かめること
- 看板を付ける前の外壁の写真など。もとからあった傷みかどうか
民法の原則
- 確かめること
- 借りたあとに生じた損傷を元に戻す(通常の損耗と経年変化を除く)。取り付けた物は外す
次に入る人
- 確かめること
- 骨組みや看板の位置を使う予定があるか。残すなら、建物の持ち主の承諾
原状回復を調べると、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」がよく出てきます。このガイドラインは、民間の賃貸住宅を想定したものです。店舗や事務所の看板の扱いは、まず賃貸借の契約書と特約で確かめます。

商業施設の中の看板やサインは、施設ごとに工事の申請や作業の時間帯の決まりがあります。撤去のあとの壁の補修をどこまで工事に含めるかは、お見積りに明記します。補修の仕上げに建物の指定があるときは、管理会社の指定に合わせて範囲を確かめます。
外した看板は、産業廃棄物として処理します
事業で使っていた看板を捨てるときは、産業廃棄物として処理するのが原則です。撤去を工事として業者に頼んだときは、その工事で出た廃棄物は、注文を直接受けた元請の業者が事業者として処理します。
廃棄物処理法は、事業者は事業で出た廃棄物を、自らの責任で適正に処理しなければならないとしています(第3条)。事業で出た廃プラスチック類や金属くず、ガラスくずなどは、産業廃棄物です(第2条第4項・施行令第2条)。看板の樹脂の板や、金属の枠と金具もこれに当たります。
看板の持ち主が自分で運搬や処分を頼むときは、産業廃棄物の収集運搬業や処分業の許可を受けた業者などに委託し(第12条第5項)、廃棄物の種類や量を書いた産業廃棄物管理票(マニフェスト)を、引き渡しと同時に渡すのが原則です(第12条の3)。撤去の工事を業者に頼んだときは、注文者から直接工事を請け負った元請業者が、その工事で出た廃棄物を処理する事業者になります(第21条の3)。
- 表示面の板とシート:アクリルなどの樹脂の板とシートは、廃プラスチック類として処理します
- 枠・骨組み・取付金具:金属の部材は、大きさと量で運び出し方が変わります
- 蛍光ランプ:水銀を使った製品です。事業者が捨てるときは、廃棄物処理法などの法令に従って処理します(環境省)
- 古い安定器:昭和32年から昭和47年にかけて作られた業務用照明器具の安定器には、PCBが含まれている可能性があります(沖縄県)。銘板のメーカー名・型式・力率・製造年月を確かめます
補足:処分まで頼むかは、見積書で確かめます
撤去の工事と、外した看板の処分は別の作業です。処分を含むかどうかは、お見積りに明記します。古い安定器にPCBが使われているおそれがあるときは、ほかの部材と一緒に捨てず、看板の持ち主が自治体に相談します。環境省は、新たに見つかった高濃度のPCB廃棄物は、管轄の自治体に保管の状況を報告するよう求めています。
迷いやすいのは、表示を消すだけ・骨組みを残すとき
表示を消したり白い板にしたりしただけでは、撤去として扱われない地域があります。残した骨組みも、設置や保存に欠陥があって落ちれば、占有者や所有者が責任を問われることがあります。
表示を消す・白い板にする
- 起きやすいこと
- 撤去の扱いにならない(静岡市)。板面を残すなら継続の申請が要る地域もある(仙台市)
- 確かめること
- 地域の除却の決まり
表示面だけ外す
- 起きやすいこと
- 道路の上の看板は、意匠だけ外しても占用の廃止にならない(新宿区)
- 確かめること
- 道路の占用の手続き
許可の期限が切れている
- 起きやすいこと
- 期限を過ぎても出し続けると条例の違反になる(京都市の手引き)
- 確かめること
- 許可と占用の期限、残っている手続き
骨組みを次の店に引き継ぐ
- 起きやすいこと
- 骨組みや照明の持ち主と、管理する人があいまいになる
- 確かめること
- 持ち主と管理する人を書面で決める
前の店の看板が残っている
- 起きやすいこと
- だれの看板か分からないまま、外すか迷う
- 確かめること
- 建物の持ち主・管理会社への確認
表示を外した骨組みも、設置や保存に欠陥があって落ちれば、看板と同じように占有者や所有者が責任を問われることがあります(民法第717条)。看板の安全管理ガイドブックは、空きビルでは広告がなく骨組みだけが残されていることが多いとしています。残すと決めたら、点検の予定も一緒に決めておきます。
ポイント:迷ったら、いまの看板の写真を1枚撮るところから
看板の正面と、取り付けているところ、建物全体の写真があれば、外す範囲と手続きの見当がつきます。許可の書類や道路の占用の書類が見つかれば、あわせてお送りください。
撤去の費用は、何で決まる?
撤去の費用は、看板の大きさと高さ、取り付け方、処分する量、壁の補修の範囲、作業の時間帯、道路の使用で変わります。同じ大きさの看板でも条件しだいで違ってくるため、写真と住所から見積もります。
大きさと高さ
- 変わる理由
- 使う作業車(高所作業車・クレーン)と、作業の人数が変わる
- 伝えてほしいこと
- 看板のおおよその寸法と、地面からの高さ
取付方法と基礎
- 変わる理由
- ボルトの数や溶接、基礎の有無で、外す手間が変わる
- 伝えてほしいこと
- 取り付けているところの写真。自立看板なら基礎の様子
処分する量と材質
- 変わる理由
- 看板の大きさと材料、照明の種類で、処分の手間が変わる
- 伝えてほしいこと
- 看板の種類と、照明の種類(蛍光灯・LED)
補修の範囲
- 変わる理由
- 穴をふさぐだけか、塗装まで仕上げるか
- 伝えてほしいこと
- 契約や管理会社の指定
作業の時間帯
- 変わる理由
- 営業時間外や夜間の作業は、段取りが変わる
- 伝えてほしいこと
- 作業できる曜日と時間帯
道路の使用
- 変わる理由
- 作業車を道路に止めるときは、道路使用の許可と安全の段取りが要る
- 伝えてほしいこと
- 店の前の道路の様子、作業車を止められる場所
金額は、条件を確かめてからお見積りします。
見積書は、金額より先に、撤去・処分・補修・届出のご案内のどこまでが含まれているかを見ます。費用のしくみは看板の費用、外した看板の帳簿での扱いは看板の耐用年数の記事でまとめています。

夜間の作業もご相談いただけます。営業中の出入りを避けたいときや、人通りの少ない時間帯に作業したいときは、作業できる時間帯をお知らせください。作業の時間帯によって、費用が変わることがあります。
よくあるご質問
看板は自分で外してもいいですか?
手の届く高さの置き看板などを除き、自分で外すのは避けてください。照明の配線を外す作業は電気工事士の資格が要り、高い所の作業には、人が落ちる危険と看板が落ちる危険があります。看板の写真を撮って相談してください。
看板の撤去の費用はいくらかかりますか?
看板の大きさと高さ、取り付け方、処分する量、壁の補修の範囲、作業の時間帯、道路の使用で変わります。看板の写真と設置場所の住所をお送りいただければ、条件を確かめてお見積りします。
閉店のとき、テナントの看板はだれが外すのですか?
まず賃貸借の契約で決まります。民法では、借りた人が取り付けた物を外し、借りたあとに生じた損傷を元に戻すのが原則です(通常の損耗と経年変化は除く)。契約書の原状回復の項目と、管理会社の決まりを確かめてください。
看板を撤去したら、自治体への届出は要りますか?
許可を受けて出していた看板は、除却の届出をするのが原則です。このサイトで確かめた地域の多くに届出の決まりがあり、東京都は許可の期間の途中で外したときに直ちに、横浜市は除却した日から7日以内に届け出ます。名前と写真の付け方も地域で違うため、設置場所の決まりを確かめてください。
表示だけ消して、看板の枠を残してもいいですか?
地域と契約によります。静岡市では白い板にしただけでは除却にならず、仙台市では表示を消して板面を残すなら継続の申請が要ります。道路の上の看板は、新宿区のように意匠だけ外しても占用の廃止にならないところもあります。
撤去は、閉店のどのくらい前に頼むとよいですか?
退去や閉店の日が決まったら、早めにご相談ください。道路の上の看板は、大阪市のように撤去の前に手続きが要る地域があり、作業車の手配や管理会社の承認にも日数がかかります。
外した看板の処分もお願いできますか?
処分もご相談いただけます。撤去・処分・補修・届出のご案内のどこまでを含むかは、お見積りに明記します。
夜や営業時間外に撤去してもらえますか?
夜間の作業もご相談いただけます。営業時間外に作業したい場合は、作業できる日と時間帯をお知らせください。時間帯によって、作業の段取りと費用が変わることがあります。
参考にした資料
- e-Gov法令検索「民法」(第599条・第621条・第622条・第717条)(別のタブで開きます)賃借人の原状回復、取り付けた物を外す義務、工作物の占有者・所有者の責任
- 国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)(別のタブで開きます)民間賃貸住宅を想定したガイドラインであること
- e-Gov法令検索「道路法」(第40条)(別のタブで開きます)占用を廃止したときの除却と原状回復
- e-Gov法令検索「道路交通法」(第77条)(別のタブで開きます)道路で工事・作業をするときの道路使用の許可
- e-Gov法令検索「電気工事士法」(第3条)(別のタブで開きます)電気工事の作業に従事できる人
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」(第518条)(別のタブで開きます)高さ2m以上の作業の作業床
- 神戸市「屋外広告物条例のしおり」(2026年4月)(別のタブで開きます)広告物等除却等届と、除去後の現況写真
- e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(第2条・第3条・第12条・第12条の3・第21条の3)(別のタブで開きます)産業廃棄物、事業者の処理の責任、委託と産業廃棄物管理票
- e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令」(第2条)(別のタブで開きます)産業廃棄物の種類(金属くず・ガラスくずなど)
- 環境省「一般照明用の蛍光ランプの規制について」(別のタブで開きます)事業者が蛍光ランプを捨てるときの扱い
- 環境省「PCBとは?なぜ処分が必要か?」(PCB早期処理情報サイト)(別のタブで開きます)業務用の蛍光灯器具の安定器のPCB、見つかったときの報告
- 沖縄県「PCB使用安定器」(2026年7月28日更新)(別のタブで開きます)PCBが使われた安定器の製造時期
- 新宿区「道路占用(看板・日除け・商店街灯等)の許可申請」(2026年2月19日更新)(別のタブで開きます)撤去のときの廃止届と、意匠のみの撤去の扱い
- 大阪市建設局「突出看板道路占用 Q&A」(別のタブで開きます)撤去の前の変更申請、道路占用返還届、屋外広告物撤去届
- 東京都屋外広告物条例施行規則(東京都都市整備局「屋外広告物のしおり2026」p.61〜95)(別のタブで開きます)第5条(屋外広告物除却届)・第8条(満了したときの除却)
- 福岡市屋外広告物条例施行規則(別のタブで開きます)第10条(除却期間)・第11条(屋外広告物除却届)
- 京都市「屋外広告物 許可申請の手引き」(令和8年10月改訂)(別のタブで開きます)屋外広告物等除却届とカラー写真、期限を過ぎた表示
- 川崎市「屋外広告物電子申請・申請書ダウンロード」(2025年11月28日更新)(別のタブで開きます)屋外広告物除却届と除却後のカラー写真
- 堺市「堺市屋外広告物のしおり」(別のタブで開きます)除却届と、除却が分かる写真
- 静岡市「屋外広告物除却・滅失届出書(様式第13号)」(2026年2月5日更新)(別のタブで開きます)白板では除却扱いにならないこと、除却後のカラー写真
- 屋外広告物適正化推進委員会「看板の安全管理ガイドブック」(2024年6月 第4版)(別のタブで開きます)東京都都市整備局のサイトに掲載。p.9 放置された看板の撤去
この記事について
全国看板施工・点検ナビ
運営:GREEN MEDIA(株式会社グリーンクロス グリーンメディア事業部)
監修:横田悠介(屋外広告士)
看板の製作・施工・点検・修理・撤去を、全国61拠点のネットワークで行っています。記事は、屋外広告士の監修のもとで作っています。記事の中の法令や自治体のルールは、国や自治体が公表している資料で確かめた内容で、使った資料は記事の最後に載せています。公開する前と、内容を直すときには、資料と照らし合わせて確かめています。写真は、グリーンクロスグループが手がけた看板と、グループの工場・施工の現場で撮影したものです。




