館内サイン・案内サインの作り方。サイン計画の進め方と、見やすさの基準
館内サインは、建物の中で、目的の場所まで迷わずに行けるように案内するサインです。誘導・位置・案内・規制の4つの役割のサインを、人の動線に沿って配置するのが基本です。掲げる高さや文字の大きさ、ピクトグラムの使い方は、国や自治体のバリアフリーのガイドラインが目安になります。
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- GREEN MEDIA(グリーンクロス)

この記事のポイント
- 01館内サインは、誘導・位置・案内・規制の4つの役割に分けて考えます
- 02入口から目的の場所まで、人の動線に沿って、情報が途切れないように配置します
- 03近くで見るサインは、床から表示面の中心まで135cm程度が目安です
- 04ピクトグラムは JIS Z 8210 の図記号をもとにし、文字を添えるのが望ましいとされています
館内サインは、4つの役割に分けて考えます
館内サインは、方向を示す「誘導サイン」、その場所が何かを知らせる「位置サイン」、全体の配置を伝える「案内サイン」、行動を制限する「規制サイン」の4つに分けると、必要なサインを漏れなく考えやすくなります。国や自治体のバリアフリーのガイドラインでも、この4つに分けています。
誘導サイン
トイレや出口など、目的の場所の方向を、矢印などで示すサインです。通路の分かれ道などに掲げます。
位置サイン
トイレや部屋の入口などに掲げて、その場所が何かを知らせるサインです。
案内サイン
建物の中の配置や、施設の位置関係を伝えるサインです。入口の近くに置く館内の案内図などです。
規制サイン
立ち入りの禁止など、利用する人の行動を制限するサインです。
それぞれの役割の模式図です。
国土交通省の旅客施設のバリアフリー整備ガイドラインでは、誘導・位置・案内・規制の4種のサインを、動線に沿って適所に配置して、移動する利用者に情報を提供するとしています。建物のバリアフリーの設計の目安をまとめた名古屋市の福祉都市環境整備指針でも、サインを同じ4つに分けています。
誘導サイン
- 伝えること
- 目的の場所の方向
- 掲げる場所の例
- 通路の分かれ道、エレベーターを降りた所
位置サイン
- 伝えること
- その場所が何か
- 掲げる場所の例
- トイレ・部屋・受付の入口
案内サイン
- 伝えること
- 全体の配置と位置関係
- 掲げる場所の例
- 建物の入口、エレベーターホール
規制サイン
- 伝えること
- してはいけないこと
- 掲げる場所の例
- 関係者だけが入る部屋の扉
役割の分け方は、国土交通省の旅客施設のガイドラインと、名古屋市の福祉都市環境整備指針によります。掲げる場所は一般的な例です。

フロアの案内図と、本棚の番号(図書館) 
矢印で入口へ案内するサイン(快活CLUB) 
店舗の一覧を載せた案内板(WITH HARAJUKU)
いずれもグリーンクロスグループが手がけた看板です。
図書館の写真では、フロアの案内図が案内サイン、本棚の端の番号が位置サインにあたります。快活CLUBの写真の、矢印で店舗の入口を示すサインは誘導サインです。
サイン計画は、人の動線をたどるところから
サイン計画は、建物を初めて訪れた人の動きをたどり、どこで、何を伝えるかを決めることから始めます。経路を示す誘導サインは、必要な情報が途切れずに得られるように、続けて配置します。
- 入口の案内サイン入ってすぐの場所に、館内の案内図を置きます。全体の配置と、いまいる場所を伝えます。
- 分かれ道の誘導サイン通路が分かれる場所ごとに、目的の場所の方向を示します。
- 部屋の入口の位置サイン目的の部屋の入口に、部屋の名前や番号を掲げます。
- 規制サイン関係者だけが入る部屋の前に、立ち入りを止めるサインを掲げます。
建物の中を上から見た模式図です。点線は、入口から目的の部屋までの道すじです。
国土交通省の旅客施設のガイドラインでは、経路を示す主な誘導サインは、必要な情報が連続的に得られるように配置するとしています。途中でサインが途切れると、そこで迷う人が出ます。分かれ道や曲がり角、エレベーター・階段の乗り降りの場所など、進む方向を決める場所ごとに、次のサインが目に入るようにします。
サイン計画の進め方
- 1
動線と、案内する場所を洗い出す
受付・エレベーター・トイレ・各部屋など、案内する場所を挙げ、来る人の動きを図面の上でたどります。初めて来た人、車いすを使う人など、来る人ごとに道すじを考えます。

資料を広げた席で作業するスタッフ(グリーンクロスグループ) - 2
サインの種類と、置く場所を決める
入口には案内サイン、通路の分かれ道には誘導サイン、部屋の入口には位置サイン、と動線に沿って配置を決めます。経路を示すサインは、途切れないように続けて置きます。
- 3
表示の内容と、デザインをそろえる
部屋の名前の呼び方、ピクトグラム、色、書体、英語の併記などを、建物全体でそろえます。同じ場所を、サインごとに違う名前で呼ばないようにします。

タブレットを見ながら打ち合わせをするスタッフ(グリーンクロスグループ) - 4
取り付け方と、作業の日程を決める
壁や天井の下地、取り付けの方法、営業時間外に作業できるかを確かめます。建物の管理会社に、工事の申請がいるかどうかも確かめます。
- 5
取り付けたら、歩いて確かめる
実際に動線を歩いて、サインが順に目に入るか、読みやすいかを確かめます。
グリーンクロスでは、サイン計画・デザインから、製作、施工、設置後の点検・修理、撤去・架け替えまで、一貫して対応します。工程が変わっても、窓口と担当者は変わりません。グループのアイ工芸(東京都板橋区)は、屋内外のサインの計画・設計・製造・施工を行う会社で、2024年3月に株式会社グリーンクロスの子会社になりました。
高さと文字の大きさは、見る距離で決めます
近くで見るサインは、床から表示面の中心までを135cm程度にするのが目安です。遠くから見るサインは、見上げる角度が10°より小さい範囲で、なるべく高く掲げます。文字の高さは、見る距離から決めます。
- 床から表示面の中心まで135cm程度近くで見るサインは、立っている人と車いすを使う人の目の高さの中間の、135cm程度にするのが適当とされています。
- 見上げる角度は10°より小さく遠くから見るサインは、見る位置から見上げる角度が10°より小さい範囲で、見る距離に応じてなるべく高く掲げます。車いすを使う人でも、前の人にさえぎられにくい高さにします。
名古屋市の福祉都市環境整備指針の目安をもとにした模式図です。
1〜2m
- 漢字・かな
- 9mm以上
- 英字・数字
- 7mm以上
4〜5m
- 漢字・かな
- 20mm以上
- 英字・数字
- 15mm以上
10m
- 漢字・かな
- 40mm以上
- 英字・数字
- 30mm以上
20m
- 漢字・かな
- 80mm以上
- 英字・数字
- 60mm以上
30m
- 漢字・かな
- 120mm以上
- 英字・数字
- 90mm以上
名古屋市の福祉都市環境整備指針の「文字の大きさの選択の目安」です。漢字・かな(和文)は「木」、英字・数字(英文)は「E」の高さで測ります。
- 書体:角ゴシック体が望ましいとされています
- 色:文字と地の色の明るさの差を大きくします。色の組み合わせは、見やすい看板のデザインにまとめています
- 明るさ:国土交通省のガイドラインでは、屋内のサインの表示面の明るさ(輝度)は、1,000cd/㎡くらいまでは明るいほど読みやすく、それを超えるとまぶしくて読みづらくなるとしています
- 置く位置:案内サインは、ほかの歩く人、とくに車いすを使う人や目の不自由な人の通行のじゃまにならない位置に置きます
距離から文字の高さを出す計算は、看板の文字の大きさの計算で試せます。
ピクトグラムは、JIS の図記号をもとにします
トイレや駐車場などを絵で表すピクトグラム(案内用図記号)は、JIS Z 8210 に示された図記号をもとにすると、多くの人に伝わりやすくなります。ピクトグラムには文字を添え、主な言葉には英語を併記します。

JIS Z 8210「案内用図記号」は、不特定多数の人に向けた案内に使う図記号を定めた日本産業規格(JIS)です。2002年(平成14年)に制定され、2017年(平成29年)にも改正されています。名古屋市の福祉都市環境整備指針では、ピクトグラムは JIS Z 8210 に示された図記号のほか、知的障害のある人、子ども、外国人などにも分かりやすいデザインにし、文字を併記することが望ましいとしています。
- 英語の併記:主な言葉には、英語を併記します。訪れる人によっては、日本語と英語のほかの言語も添えることが望ましいとされています
- ローマ字:英語に訳せない固有の名前は、ヘボン式のローマ字で表します(国土交通省 旅客施設のガイドライン)
- 点字・音声:名古屋市の福祉都市環境整備指針では、点字や音声などで、目の不自由な人に案内する設備も示しています
ポイント:ピクトグラムのデザインの原則も、JIS になりました
2025年1月、経済産業省は、案内用図記号のデザインの原則(JIS Z 8211)と、図記号の理解度を確かめる試験の方法(JIS Z 8212)の JIS を制定したと公表しました。新しい案内用図記号を、すばやく JIS に追加できるようになるとしています。建物に合わせて新しく図記号をデザインするときは、こうした原則も確かめます。
誘導灯や避難の表示を、ふさがない配置にします
館内サインは、避難口や避難の方向を示す誘導灯・誘導標識をさえぎったり、まぎらわしくしたりしない位置に掲げます。消防法施行規則は、誘導灯や誘導標識のまわりに、まぎらわしい広告物やさえぎる掲示物などを設けないよう定めています。
法令・ルール:誘導灯のまわりに、まぎらわしい表示を置かない
消防法施行規則 第28条の3は、誘導灯の周囲には、誘導灯とまぎらわしい、または誘導灯をさえぎる灯火・広告物・掲示物などを設けないこと(第4項第8号)、誘導標識の周囲には、誘導標識とまぎらわしい、または誘導標識をさえぎる広告物・掲示物などを設けないこと(第5項第3号)を定めています。
グリーンクロスでは、館内サイン・誘導サインは、天井や壁の下地と、営業時間外に作業できるかを確かめ、避難経路や消防設備の表示をふさがない配置にします。
館内サインを掲げる前に確かめること
- 誘導灯・誘導標識をさえぎらないか、まぎらわしくないか
- 通路や扉の開け閉めのじゃまにならないか
- 吊り下げるサインの下を、ぶつからずに通れるか
- 壁や天井の下地に、取り付けられるか
- 営業時間外に作業できるか
- 建物の管理会社の決まり(工事の申請など)
建物の外から見えるように掲げるサインは、屋外広告物にあたることがあります。屋外広告物法は、常時または一定の期間続けて屋外で公衆に表示されるものを屋外広告物としています(第2条)。窓の内側から外に向けた表示の扱いは、自治体によって違います。
テナントの入れ替えや改装にも、続けて使える計画に
館内サインは、テナントの入れ替えや部屋の名前の変更で、表示を替える場面が出てきます。変わる部分を差し替えやすい作りにし、表示のルールを決めておくと、建物全体の統一を保ったまま更新できます。
- 差し替えやすい作り:テナント名や部屋の名前など、変わる部分は差し替えやすい作りにします
- 表示のルールを決める:色・書体・ピクトグラム・英語の表記のルールを決めておくと、あとから足すサインも全体にそろいます
- 一覧にして管理する:どこに、どのサインがあるかを一覧にしておくと、見直しや追加のときに役立ちます
- 歩いて確かめる:レイアウトを変えたときは、動線を歩いて、サインが順に目に入るかを確かめます
よくあるご質問
サイン計画とは何ですか?
建物の中や敷地で、人が迷わずに目的の場所まで行けるように、どこに、どんなサインを、どう表示するかを決めることです。誘導・位置・案内・規制の4つの役割のサインを、人の動線に沿って配置するのが基本です。
館内サインは、どのくらいの高さに付けますか?
近くで見るサインは、床から表示面の中心までを135cm程度にするのが目安です。遠くから見るサインは、見上げる角度が10°より小さい範囲で、見る距離に応じてなるべく高く掲げます(名古屋市の福祉都市環境整備指針)。
案内サインの文字は、どのくらいの大きさが必要ですか?
見る距離から決めます。ガイドラインの目安では、和文の文字の高さは、4〜5mなら20mm以上、10mなら40mm以上です。
ピクトグラムは、どう選べばよいですか?
JIS Z 8210「案内用図記号」に示された図記号をもとにすると、多くの人に伝わりやすくなります。名古屋市の福祉都市環境整備指針では、知的障害のある人、子ども、外国人などにも分かりやすいデザインにし、文字を併記することが望ましいとしています。
テナントが入れ替わったときに、表示だけ替えられますか?
変わる部分を差し替えやすい作りにしておけば、表示の部分だけを替えられます。いまのサインの写真と、替えたい内容が分かれば、進め方をご案内します。
営業中の建物でも、取り付けられますか?
作業の内容と場所によって違います。営業時間外に作業できるかどうかも含めて、最初にご相談ください。
参考にした資料
- 国土交通省「バリアフリー整備ガイドライン(旅客施設編)」第2部 誘導案内設備(別のタブで開きます)令和7年9月。サインの4つの種類・連続的な配置・ローマ字の表記・表示面の輝度
- 名古屋市「福祉都市環境整備指針」第2編 Ⅴ 情報・案内(令和4年3月更新)(別のタブで開きます)サインの高さ・文字の大きさ・書体・ピクトグラム
- 日本規格協会 JIS Z 8210:2017 案内用図記号(規格のプレビュー)(別のタブで開きます)
- 経済産業省「案内用図記号(ピクトグラム)のデザイン原則と図記号の理解度試験に関する JIS 制定」(別のタブで開きます)2025年1月20日
- 消防法施行規則(e-Gov 法令検索)(別のタブで開きます)第28条の3(誘導灯・誘導標識)
- 屋外広告物法(e-Gov 法令検索)(別のタブで開きます)第2条(屋外広告物の定義)
この記事について
全国看板施工・点検ナビ
運営:GREEN MEDIA(株式会社グリーンクロス グリーンメディア事業部)
監修:横田悠介(屋外広告士)
看板の製作・施工・点検・修理・撤去を、全国61拠点のネットワークで行っています。記事は、屋外広告士の監修のもとで作っています。記事の中の法令や自治体のルールは、国や自治体が公表している資料で確かめた内容で、使った資料は記事の最後に載せています。公開する前と、内容を直すときには、資料と照らし合わせて確かめています。写真は、グリーンクロスグループが手がけた看板と、グループの工場・施工の現場で撮影したものです。




