医療機関の看板に書けること。医療広告ガイドラインと診療科名の書き方
開業や改装で看板の文字を決めるとき、医院名の横に「〇〇外来」や「最新の設備」と入れたくなることがあります。クリニックや歯科医院の看板は、医療法の広告の決まりの対象です。書けるのは、名称や診療科名、診療日と診療時間といった、法令で決められた事項が中心で、それ以外は原則として書けません。デザインの前に、載せたい言葉が書けるかを確かめておくと、作り直しを防げます。
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この記事のポイント
- 01看板は医療広告の媒体の一つ。書けるのは、名称・診療科名・診療日と診療時間など、広告できる事項が中心です
- 02「日本一」「最先端」「〇〇外来」、患者さんの体験談、治療の前後の写真は、看板にも載せられません
- 03診療科名は、法令で決められた名前と組み合わせ方で書きます。「審美歯科」など法令にない名前は使えません
- 042008年に使えなくなった「胃腸科」などは、看板を書き換えるときに、いまの診療科名に改めます
- 05迷う言葉は、デザインの前に、医療機関を所管する自治体の窓口に確かめます
看板は、医療広告の決まりの対象です
厚生労働省の医療広告ガイドラインは、広告にあたる媒体の例に看板を挙げています。建物の看板も、道路沿いの野立て看板も、送迎の車に書いた医院名も同じ扱いです。院内に貼る掲示や、院内で配るパンフレットは、原則として広告にあたりません。
医療広告ガイドラインのいまの版は、2026年3月30日に最終改正されたものです(正式な名前は「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン)」)。このガイドラインは、次の3つをすべて満たすものを医療広告としています。患者さんの受診を誘う意図があること(誘引性)、医療機関の名前などが分かること(特定性)、医業や病院・診療所に関する内容であることです。
医院名と診療科名を書いた看板は、この3つにあてはまります。ガイドラインは、広告にあたる媒体の例として「ポスター、看板(プラカード及び建物又は電車、自動車等に記載されたものを含む。)、ネオンサイン、アドバルーン」などを挙げています。建物に付けた看板のほか、送迎の車の車体に書いた医院名も、看板と同じように考えます。「映写又は電光によるもの」も、媒体の例に入っています。
- 道路沿いの野立て看板医療機関から離れた場所に立てる看板も、看板として医療広告の決まりの対象です。
- 建物の看板壁や屋上の看板、袖看板、建物に書いた表示。ガイドラインは、看板に「建物又は電車、自動車等に記載されたもの」を含めています。
- 送迎の車の表示自動車に書いた医院名や診療科名も、看板と同じ決まりで考えます。
- 院内の掲示待合室などの掲示は、主にすでに受診している患者さんに向けたもので、原則として広告にあたりません。
- 院内で配るパンフレット院内の掲示と同じく、原則として広告にあたりません。
クリニックの外と中の模式図です。点線の左が建物の外、右が院内(待合室)です。
補足:院内の掲示と、建物の外の看板は、扱いが変わります
ガイドラインは、院内の掲示や院内で配るパンフレットは、見る人が主にすでに受診している患者さんのため、原則として広告にあたらないとしています。Q&Aによれば、病院の院内の掲示なら「透析センター」のような部門の名前も掲げられます。同じ言葉でも、建物の外に出す看板に書くときは、医療広告の決まりで考え直します。
看板に書けるのは、法令で決められた事項です
医療機関の広告に書けることは、原則として、医療法と厚生労働省の告示で決められた事項に限られます。看板によく載せる名称・診療科名・診療日と診療時間・電話番号・所在地は、どれも書ける事項です。決められた事項なら、文字だけでなく、写真やイラストでも表せます。
医療法は、広告できる事項を並べて示し、それ以外は原則として広告してはならないとしています(第6条の5第3項)。看板に載せたい言葉があるときは、「書いてはいけない言葉か」より先に、「書ける事項に入っているか」から確かめると判断しやすくなります。
医療機関の名称
- 書けるか
- 書ける
- 確かめること
- 正式な名称のほか、その医療機関と分かる略称・英語名も書ける。ほかの言葉を書き足すことはできない(「名前の決まり」の章)
診療科名
- 書けるか
- 書ける
- 確かめること
- 法令で決められた名前と組み合わせ方に限る(「診療科名の書き方」の章)
診療日・診療時間・予約の有無
- 書けるか
- 書ける
- 確かめること
- ガイドラインは、診療日と診療時間をできるだけ載せるのが望ましいとしている
電話番号・所在地
- 書けるか
- 書ける
- 確かめること
- 管理者(院長など)の氏名も書ける
医師・歯科医師である旨、医師の名前や略歴
- 書けるか
- 書ける
- 確かめること
- 医療従事者の氏名・年齢・性別・役職・略歴など
保険医療機関・労災保険の指定
- 書けるか
- 書ける
- 確かめること
- 法令にもとづく指定を受けている旨
専門医の資格
- 書けるか
- 条件つきで書ける
- 確かめること
- 日本専門医機構・日本歯科専門医機構の認定など、広告できる資格に限る。認定した団体の名前を資格名と一緒に書く
自由診療の治療
- 書けるか
- 条件つきで書ける
- 確かめること
- たとえばインプラントは、医薬品医療機器等法の承認を受けたものを使う治療で、公的医療保険が適用されない旨と標準的な費用を並べて書く場合に限る
オンライン診療を行う旨
- 書けるか
- 書ける
- 確かめること
- 医療法の広告できる事項に入っている
主なものの例です(医療法第6条の5第3項、医療広告ガイドライン、Q&A。2026年10月時点)。迷う内容は、医療機関を所管する自治体の窓口に確かめます。
ガイドラインは、広告できる事項なら、文字だけでなく写真やイラストで表してもよいとしています。建物の写真は、その医療機関の写真なら使えますが、ほかの病院の写真は使えません。診療日と診療時間は、患者さんに伝えるべき情報として、できるだけ載せるのが望ましいとされています。

「日本一」「最先端」「〇〇外来」は、看板にも書けません
ほかより優れていると示す言葉、大げさな言葉、広告できる事項にない言葉は、看板にも書けません。患者さんの体験談や、治療の前後の写真も同じです。ホームページで使える「限定解除」は、患者さんが自分から求めて見る情報であることが要件のため、看板の文案は、広告できる事項の範囲で考えておくと安心です。
虚偽の広告
- 例
- 「絶対安全な手術です」「どんなに難しい症例でも必ず成功します」
- どこが問題か
- 事実と違う内容
比較優良広告
- 例
- 「日本一」「№1」「最高」「当院は県内一の医師数を誇ります」
- どこが問題か
- 事実であったとしても、優秀性について著しい誤認を与えるおそれがある
誇大広告
- 例
- 「最先端の医療」「最適の医療」
- どこが問題か
- Q&Aは、「最先端」「最適」は誇大広告にあたるとしている
広告できる事項以外
- 例
- 「〇〇外来」「専門外来」、死亡率・術後生存率
- どこが問題か
- 「〇〇外来」は、広告できる診療科名と誤認させるため書けない
体験談
- 例
- 患者さんの治療の感想や体験
- どこが問題か
- 患者さんの主観にもとづく、治療の内容や効果の体験談は書けない
治療の前後の写真
- 例
- 治療前と治療後を並べた写真
- どこが問題か
- 治療の内容や効果を誤認させるおそれのあるものは書けない
品位を損ねる内容など
- 例
- 「今なら〇円でキャンペーン実施中」
- どこが問題か
- 費用を前面に押し出した広告は、厳に慎むべきとされている
医療広告ガイドライン(2026年3月30日最終改正)とQ&A(2026年3月改定)の例から。言葉は前後の書き方でも判断されるため、迷う言葉は窓口に確かめます。
「最新」は、少し扱いが違います。Q&Aは、「最新の治療法」「最新の医療機器」が医学的・社会的な常識の範囲で事実と認められるものであれば、必ずしも禁止される表現ではないとしています。そのうえで、より新しい治療法や機器が定着したあとも「最新」と書き続けると、虚偽や誇大の広告にあたるおそれがあると注意しています。求められたときに、裏付けとなる根拠を示せることも必要です。
看板は、何年も同じ場所に掲げ続けるものです。いまは事実でも、時間がたつと合わなくなる言葉は、看板には使わないほうが安心です。季節や時期で変わる案内は、院内の掲示やホームページに回すと、看板を書き換える回数も減らせます。
看板の文案を見直すときに確かめること
- 医療機関の名前は、届け出た正式な名称(またはその医療機関と分かる略称・英語名)で、言葉を書き足していないか
- 診療科名は、法令にある名前と組み合わせ方か(「〇〇外来」「〇〇センター」を付けていないか)
- 「日本一」「№1」「最高」「最先端」など、比べる言葉や大げさな言葉がないか
- 「最新」「専門」などの言葉に、事実の裏付けと、広告できる根拠があるか
- 体験談、治療の前後の写真、ほかの病院の写真が入っていないか
- 自由診療の治療名を書くとき、並べて書くべき事項を書いているか
- QRコードを載せるとき、読み込んで開くページも決まりに合っているか
法令・ルール:看板の文案は、広告できる事項の範囲で考えます
ホームページなどでは、決められた要件をすべて満たせば、広告できる事項のほかの内容も載せられます(広告可能事項の限定解除)。その要件の一つ目は、「患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトその他これに準じる広告であること」です(医療法施行規則 第1条の9の2)。通りを行く人の目に自然に入る看板は、自分から求めて見る情報とは性質が違うため、看板の文案は、広告できる事項の範囲で考えておくと安心です。広告できる事項にない内容を載せたいときは、窓口に確かめます。
看板にQRコードを載せて、ホームページへ案内することもできます。Q&Aは、QRコードを読み込んで表示されるウェブサイトも、インターネット上のウェブサイトと同じく広告規制の対象としています。看板とあわせて、開くページの内容も確かめておきます。
診療科名は、決められた名前と組み合わせ方で書きます
看板に書ける診療科名は、医療法施行令で決められた名前と、その組み合わせです。「内科」「外科」などに、体の部位・患者さんの特性・診療の方法・病気の名前を組み合わせて表します。法令にない名前は、看板にも医療機関の名前にも使えません。
医療法施行令は、そのまま使える診療科名を決めています(第3条の2)。内科・外科のほか、精神科・アレルギー科・リウマチ科・小児科・皮膚科・泌尿器科・産婦人科・眼科・耳鼻いんこう科・リハビリテーション科・放射線科・病理診断科・臨床検査科・救急科です。産婦人科は「産科」「婦人科」、放射線科は「放射線診断科」「放射線治療科」に代えることもできます。
これらの名前には、4つの区分の言葉を組み合わせられます。体の部位や臓器(消化器・循環器など)、患者さんの性別や年齢などの特性(女性・小児など)、診療の方法(整形・形成・美容・心療など)、病気や病態(糖尿病・アレルギー疾患など)です。歯科は「歯科」のほか、「小児歯科」「矯正歯科」「歯科口腔外科」の形が示されています。組み合わせた名前は、次の3つの形で書きます。
〇〇△△科
- 例
- 呼吸器内科、消化器外科
〇〇・△△科
- 例
- 肝臓・消化器外科、糖尿病・代謝内科
〇〇科(△△)
- 例
- 内科(循環器)
厚生労働省の通知「広告可能な診療科名の改正について」(2008年3月31日)の例です。同じ区分の事項を2つ続けるときは、「・」で区切ります。
法令にない名前
- 例
- 「呼吸器科」「循環器科」「老年科」「糖尿病科」、歯科の「インプラント科」「審美歯科」、「総合診療科」
不合理な組み合わせ
- 例
- 内科と「整形」「形成」、外科と「心療」、小児科と「老人」「高齢者」、産婦人科と「男性」「小児」など
法令にない名前と、診療科名の組み合わせ
- 例
- 法令にない名前を、認められた診療科名と組み合わせても広告できない
厚生労働省の通知(2008年3月31日)とQ&A(2026年3月改定)から。「呼吸器科」「循環器科」など2008年まで使えた名前で、それより前から掲げている看板の扱いは、次の章で説明します。
診療科名をたくさん並べると、何を主に診ているのかが伝わりにくくなります。厚生労働省は、主たる診療科名を医師・歯科医師1人につき原則2つ以内とし、ほかの診療科名と区別して大きく書くことが望ましいとしています。麻酔科を書くときは、厚生労働大臣の許可を受けた医師の名前を並べて書きます(Q&A)。
2008年に使えなくなった診療科名は、看板を書き換えるときに改めます
「胃腸科」「神経科」などは、2008年4月1日から新しく広告できなくなりました。それより前から掲げている看板は、書き換えなど広告の変更をしない限り、そのまま使えます。表示を書き換えるときや、新しい診療科名への変更を届け出たときは、いまの診療科名にそろえます。
2008年4月1日から広告できなくなったのは、神経科・呼吸器科・消化器科・胃腸科・循環器科・皮膚泌尿器科・性病科・こう門科・気管食道科です。厚生労働省の通知は、この日より前から広告していたものは、看板の書き換えなど広告の変更を行わない限り、引き続き広告できるとしています。Q&Aによると、内容を変えずに広告の契約を更新するだけなら、変更にはあたりません。ただし、新しい診療科名に変える届出もした場合は、それまでの診療科名は、引き続き広告できません。
看板の側から見ると、気をつけたいのは表示を書き換えるときです。作り替えや表示面の交換で表示の内容を書き直すときは、いまの診療科名に改めます。同じ内容のまま表示面を新しくする場合や、一部を貼り替える場合の扱いは、窓口に確かめます。

医療機関の名前に古い診療科名が入っている場合は、名前を変える必要はありません。ただし、新しく開業する場合や、名前を変える場合は、広告できなくなった診療科名を名前に入れることはできません(Q&A)。
医療機関の名前に、ほかの言葉は書き足せません
看板に書く医療機関の名前は、届け出た正式な名称が基本です。ガイドラインは、その医療機関だと分かる略称や英語名も書けるとしています。正式な名称に「糖尿病クリニック」「〇〇センター」などを書き足すことは、原則としてできません。
医療法は、病気の治療(助産を含みます)をする場所で病院や診療所でないものに、病院・診療所・医院などと紛らわしい名前を付けることを禁じています。診療所が、病院・病院分院・産院など病院と紛らわしい名前を付けることもできません(第3条)。Q&Aは、はり・きゅうの施術所を「〇〇クリニック」と広告することも、この決まりからできないとしています。
届け出た正式な名称を書く
- 扱い
- 書ける
- ガイドライン・Q&Aの説明
- 名称は、広告できる事項に入っている
その医療機関と分かる略称・英語名を書く
- 扱い
- 書ける
- ガイドライン・Q&Aの説明
- ガイドラインは、当該医療機関と認識できる略称や英語名も可能としている
「〇×医院 糖尿病クリニック」のように、正式な名称に書き足す
- 扱い
- 書けない
- ガイドライン・Q&Aの説明
- 正式な名称に併せて広告することはできない
「〇×病院 〇〇センター」のように、部門の名前を並べる
- 扱い
- 原則として書けない
- ガイドライン・Q&Aの説明
- 救命救急センターなど、法令や国の事業による場合などを除き書けない。院内の掲示なら「透析センター」などと掲げられる
名称に「糖尿病」など病気の名前を入れる
- 扱い
- 使える
- ガイドライン・Q&Aの説明
- 広告できるとされた病名・治療の方法などは、名称にも使える
名称に、広告できない診療科目を入れる
- 扱い
- 使えない
- ガイドライン・Q&Aの説明
- 医療機関の名称も、広告として扱われる
医療法第6条の5第3項、医療広告ガイドライン(2026年3月30日最終改正)、Q&A(2026年3月改定)の問6-2・6-3・6-5から。
看板の名前は、開設の届出などで届け出た正式な名称を基本にします。略称や英語名を使うときは、その医療機関だと分かる書き方にします。名前を略すときや、言葉を書き足すか迷うときは、文案の段階で窓口に確かめておくと、看板ができてからの作り直しを防げます。
道路沿いの野立て看板も、書けることは同じです
医療機関から離れた道路沿いに立てる野立て看板も、書けることは建物の看板と同じです。違うのは、屋外広告物条例の扱いです。自分の事業所に出す看板(自家用)にあたらない場合は、小さな看板でも許可が要る地域があります。

屋外広告物条例では、自分の名前や店名などを自分の事業所に出す看板を「自家用」とし、決められた大きさまでは許可がいらないとする自治体が多くあります。野立て看板は医療機関から離れた土地に立てるため、この自家用にあたらないことがあります。たとえば大阪市の申請Q&Aは、自家用を「自己の事業所や営業所に設置する」看板とし、自家用でない場合は大きさに関わらず申請が必要としています。
看板を出せない場所が決まっていることもあります。大阪市では、阪神高速道路の区域と路端から両側50mの範囲(路面の高さから上方15mまで)が禁止地域です。表示面積7㎡以内の自家用の広告物などを除いて、看板を出せません(大阪市「屋外広告物のしおり」2026年1月)。土地を借りる前に、その場所に看板を出せるかを自治体に確かめます。
看板ごとに、載せる情報を分けて考えます
遠くから見る看板には名称と主な診療科名を大きく書き、入口のそばの表示には診療日や診療時間を載せます。看板ごとに役割を分けると、どの看板も読みやすくなります。変わることのある情報は、差し替えやすい場所にまとめます。
- 道路から見る看板ポールサインや野立て看板。車や離れた場所から読むので、名称と主な診療科名に絞って大きく書きます。
- 建物の看板壁や屋上の看板、袖看板。名称と主たる診療科名を大きく、ほかの診療科名は分けて小さく書きます。
- 入口のそばの表示ガラス面や置き看板。診療日・診療時間・休診日・予約の有無・電話番号など、近くで読む情報を載せます。
- 変わりやすい情報診療時間や担当の医師など、変わることのある情報は、差し替えやすい部分にまとめます。
看板の役割の分け方の一例です。表示面の帯は、文字の行を表しています(太い帯ほど大きな文字です)。
看板によっては、表示面の一部を貼り替えて、診療時間などを変えられる場合があります(看板の材質や状態によります)。開業のときから、変わりやすい情報をどこに載せるかを決めておくと、あとで直す範囲が小さくなります。
夕方以降も診療するなら、暗くなってからも名称が読めるよう、照明の付いた看板にするかを考えます。建物の入口から受付、駐車場までの道すじは、館内や敷地の案内サインでつなぎます。テナントビルや医療モールでは、建物の所有者や管理会社の承諾と、施設が決めているサインの決まりを先に確かめます。

開業の前に、看板の段取りを確かめておきます
看板は、名称と診療科名が決まってから作り始めます。屋外広告物の許可が要るか、建物の承諾が要るかで、準備の期間が変わります。開業の日が決まっていれば、その日から逆算して進めます。
開業までの看板の段取り(一例)
- 1
名称と診療科名を決める
看板に書く名称と診療科名を決めます。名称は届け出る正式な名称、診療科名は法令で決められた名前と組み合わせ方で考えます。
- 2
載せる内容を整理する
看板ごとに載せる情報を分けます。書けるかどうか迷う言葉は、医療機関を所管する自治体の窓口に確かめます。
- 3
設置場所と許可を確かめる
建物の所有者・管理会社の承諾、屋外広告物の許可、道路の上に突き出す看板なら道路の占用の許可が要るかを確かめます。
- 4
デザインと大きさを決める
見る距離から文字の大きさを決め、夜の見え方や、入口までの案内もあわせて考えます。
- 5
製作と取り付け
許可が要る看板は、原則として許可を受けてから取り付けます。照明の付いた看板は、点灯の確かめまで行います。
- 6
開院と開設の届出
医師・歯科医師が開設する診療所は、開設後10日以内に、保健所へ開設届を出します(医療法第8条。山梨県・千葉県の案内で確認)。看板に書く名称が、届け出る名称と合っているかも確かめます。
法令・ルール:迷ったときの相談先
医療広告についての相談は、医療機関を所管する自治体の窓口が受けています。厚生労働省は、都道府県・保健所設置市・特別区の医療広告の窓口の一覧を公開しています。看板の許可は、看板を出す場所の自治体の、屋外広告物の窓口に確かめます。
グリーンクロスでは、開業・移転・改装の看板の製作と取り付けから、表示面の貼り替え、照明のLED化、点検までご相談いただけます。
よくあるご質問
クリニックの看板に、診療時間は書かないといけませんか?
決まりで必ず書くものではありませんが、医療広告ガイドラインは、診療日と診療時間は患者さんに伝えるべき情報なので、できるだけ広告にも載せるのが望ましいとしています。なお、診療所には、院内の掲示の決まりがあります(医療法第14条の2)。管理者と診療する医師・歯科医師の氏名、診療日と診療時間を、入口や受付、待合の近くの見やすい場所に掲示します。変わることがある場合は、看板では差し替えやすい部分にまとめます。
看板に「〇〇専門医」と書けますか?
日本専門医機構・日本歯科専門医機構の認定を受けた旨など、広告できる専門性の資格なら書けます。そのときは、認定した団体の名前を、資格名と一緒に書きます。「厚生労働省の認可した〇〇専門医」のように書くと、虚偽の広告にあたります。専門医の認定は学会や専門医機構が行うもので、厚生労働省が認可した資格ではないためです。
古い看板の「胃腸科」の表示は、すぐに直す必要がありますか?
2008年4月1日より前から掲げている看板は、書き換えなど広告の変更をしない限り、そのまま使えます。表示を書き直すときや、新しい診療科名への変更を届け出たときは、いまの診療科名に改めます。同じ内容のまま表示面を新しくする場合などは、窓口に確かめます。
「最新の設備」と看板に書けますか?
書ける場合はありますが、長く掲げる看板には向きません。Q&Aは、「最新」が医学的・社会的な常識の範囲で事実と認められるものであれば、必ずしも禁止されないとしています。ただし、より新しいものが定着したあとも書き続けると、虚偽や誇大の広告にあたるおそれがあります。
院長の名前や経歴を看板に載せられますか?
医療従事者の氏名・年齢・性別・役職・略歴などは、広告できる事項です。広告できる事項は、写真やイラストで表すこともできます。資格や経歴は、広告できる範囲に入っているものだけを載せます。
看板にQRコードを載せてもよいですか?
載せられます。ただし、QRコードを読み込んで表示されるウェブサイトも、ほかのウェブサイトと同じく医療広告の規制の対象です(Q&A)。看板とあわせて、QRコードの先のページの内容も見直しておきます。
野立て看板にも、許可は要りますか?
要ることがあります。医療機関から離れた土地に立てる看板は、自分の事業所に出す「自家用」にあたらないことがあり、大阪市のように、自家用でなければ大きさに関わらず申請が要る地域もあります。立てる場所の自治体の、屋外広告物の窓口に確かめます。
送迎の車に医院名を書くときも、決まりはありますか?
あります。医療広告ガイドラインは、看板に「建物又は電車、自動車等に記載されたもの」を含めています。車体に書く医院名や診療科名も、看板と同じ決まりで考えます。
参考にした資料
- 厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン)」(2026年3月30日最終改正)(別のタブで開きます)医療広告の要件、広告にあたる媒体の例、禁止される広告、「〇〇センター」の扱い、名称(略称・英語名)、診療科名、写真の扱い
- 厚生労働省「医療広告等ガイドラインに関するQ&A」(2026年3月改定)(別のタブで開きます)「最新」「最先端」「〇〇外来」、旧診療科名と変更の届出(問3-1)、専門医(問3-5)、インプラント(問3-9)、名称(問6-2〜6-8)、QRコード
- 厚生労働省「医療法における病院等の広告規制について」(別のタブで開きます)医療広告の相談は、医療機関を所管する自治体の窓口
- 厚生労働省「各都道府県、保健所設置市及び特別区における医療に関する広告の窓口一覧」(別のタブで開きます)
- 厚生労働省医政局長通知「広告可能な診療科名の改正について」(2008年3月31日)(別のタブで開きます)組み合わせた診療科名の書き方、不合理な組み合わせ、広告できなくなった診療科名と経過措置
- 医療法(e-Gov 法令検索)(別のタブで開きます)第3条(病院・診療所と紛らわしい名称)、第6条の5(広告)、第6条の6(診療科名)
- 医療法施行令(e-Gov 法令検索)(別のタブで開きます)第3条の2(診療科名)
- 医療法施行規則(e-Gov 法令検索)(別のタブで開きます)第1条の9の2(広告可能事項の限定解除の要件)
- 山梨県「診療所開設届(医師・歯科医師が開設者の場合)」(別のタブで開きます)開設後10日以内、保健所に届け出
- 千葉県「【医療法】診療所開設届(医師、歯科医師による開設)」(別のタブで開きます)
- 千葉市保健所「院内掲示について」(2026年3月27日更新)(別のタブで開きます)診療所の院内掲示(医療法第14条の2)。管理者と医師・歯科医師の氏名、診療日と診療時間
- 大阪市「屋外広告物申請 Q&A」(別のタブで開きます)自家用の定義と、自家用でない場合の申請
- 大阪市「屋外広告物のしおり」(2026年1月)(別のタブで開きます)禁止地域(阪神高速道路の沿線)と、7㎡以内の自家用広告物などの適用除外
この記事について
全国看板施工・点検ナビ
運営:GREEN MEDIA(株式会社グリーンクロス グリーンメディア事業部)
監修:横田悠介(屋外広告士)
看板の製作・施工・点検・修理・撤去を、全国61拠点のネットワークで行っています。記事は、屋外広告士の監修のもとで作っています。記事の中の法令や自治体のルールは、国や自治体が公表している資料で確かめた内容で、使った資料は記事の最後に載せています。公開する前と、内容を直すときには、資料と照らし合わせて確かめています。




